ピアノのレッスンといって想像するのは、ピアノの椅子に子どもが座り、隣に先生が座っている光景だと思います。でも、街の小さなピアニスト音楽教室ではピアノの椅子から離れて動く場面がたくさん!
今日は動くレッスンについてご紹介します。
動いて何をするの?
音楽の要素をまずは動くこと、歌うことで『経験』することから全て始ります。
例えば、ビートについて学ばせたい時、言葉で説明することは簡単ですが目では見えない音楽の中に存在するビートを感じなければ意味がありません。
ビートの場合『規則正しいこと』を経験させる必要があります。規則正しいことで最も簡単なことは歩くこと。歩く速さに合わせてピアノを弾きます。でもこれだけでは子どもにとったらただ歩いているだけで音楽的価値はありません。そこで、音楽を止めるのです。音楽を止めると自然に歩くのも止まります。こうしてストップを入れることで音楽を集中して聴くようになるのです。
ビートについて例をあげましたが、全ての音楽要素に対して動くことからアプローチすることができます。
動くことのメリット
先ほどのビートを理論的にどういうものか説明しても実際にピンときません。しかし動くことは、難しい理論を抜きとして音楽から要素を見つけ出し(聴き分けて)活動することができるのです。ピアノで弾かせることもできますが、ピアノを弾くことで違う要素に頭を働かせてしまうのでまずは動いて体の感覚として習得させることが大切です。
動くことの最大のメリットは『音楽に内在するエネルギーを感じ取ること』です。想像してみてください。その場で1回軽くジャンプするのと高くジャンプするのでは、どっちの方がエネルギーが必要か。音楽の要素が、音楽に内在するエネルギーにどのような影響を与えているのか、難しい説明を抜きにして学ぶことができます。
これが動くことの最大のメリットです。
活発な子も控えめな子も動くことでレッスンがスムーズに!
活発な子が動くことを喜んでやるのは想像できると思います。しかし、活発な子の場合は『抑制』することが難しく、音楽に主導権を持たせることが上手くレッスンできるかのポイントになります。椅子に座りっぱなしのレッスンより動くことの方が、活発な子には合っています。
逆に控えめな子は、なかなか自分の思っていることを伝えられなかったりすることが多いです。そんな子も、やっぱり動くことで抵抗なく取り組んでくれるのです。どんなタイプの子でもレッスンをスムーズに進めることができます。
動くことでレッスンが3倍楽しくなる
動くことによって、音楽的な観点からとても価値のあることであることは書きましたが、それは大人の考えであって子どもからしたらどうでもいいことです。子どもはとにかく楽しければ満足なのです。楽しければ興味も湧きます。子どもを楽しませるために動くのではなく、音楽的な学びのために動いている結果にも関わらず椅子に座っているだけのレッスンよりも遥かに子どもたちは楽しいと言います。
実際、レッスンで何が楽しかったかと問うと動いたことと答える子どもがほとんどです。ほぼ全員と言ってもいいかもしれません。小さなお子さまでも、45分という初心者には少し長めのレッスンでも、集中して取り組めるのは『動くレッスン』だからなのです。
肝心のピアノは?
ピアノの楽譜を初心者が読むのは、読むだけで大変なことです。知らない国の知らない言葉の本を読むのと同じなのです。宿題として出される曲は、大人が思っている以上に負担の大きなことです。
動くことで様々な音楽体験をした子どもたちは楽譜の中から知っていることを見つけ出す能力が備わってきます。音符を読んでその音を鳴らすこととに精一杯になるより、楽譜を音楽と捉え音楽を楽しむことの方が大切です。音楽として楽譜を捉えられれば自然と音質やバランスなどに注意して聴くようになりピアノのテクニックへの近道となります。テクニックは練習しなければ身に付きませんがテクニックの前に耳を養わなければテクニックを身に付けることは不可能なのです。全ては『見えない音』から判断しなければいけませんから…。
まとめ
動いて楽しいピアノレッスンとは、動くことで音楽に内在するものを感じ取り、聴き分けるための能力を養うことを目的としています。
そして、その結果子どもが
楽しいと感じる→夢中になって取り組む→集中する
というサイクルをつくることができるのです。
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